あなたの会社で外国人を雇用するには?
日本では現在、特に現場労働に従事する仕事を中心に、人手が不足しております。
それを補うために外国人技能実習や外国人労働者の受入れが急ピッチで進められています。
しかしながら、外国人を雇うためには法律上の制限があり、外国人労働者のほとんどは、日本人と同じように自由に働くことはできません。
①外国人特有の手続きがあります
外国人を雇うためには、日本人を雇った場合の手続きの他に、外国人特有の手続きが追加で必要となります。
②外国人には職種や労働時間の制限があります
外国人には、一定の条件を満たした場合、日本での滞在目的に応じて、在留資格というものが国から付与されます。
外国人は在留資格に応じて、職種や仕事内容、労働時間等に制限が課されることがあります。
そのため、仕事に制限のある在留資格を持つ外国人は、在留資格において許可された仕事以外の仕事をすると、在留資格を失ったり罪に問われることがでてきます。
②外国人雇用にはルールを守らないと罰則があります
外国人を雇う際に必要な手続きを怠ると、外国人を雇うことはできません。
しかも、雇い入れた会社で就労可能な在留資格を取得しないで外国人を雇用した場合、外国人を雇い入れてしまった会社側が罪に問われることがあります。(知らなかったは通用しません!)
外国人雇用に関するお問い合わせは、電話またはメールでご連絡ください。
どうすれば外国人を雇用できるのか?
一般的な企業で雇用することができる在留資格とその特徴
※法令などの表現の正確性よりもわかりやすさを重視して文章を書いております。
内容によっては必ずしも正確ではないものもありますので申請等は自己責任でお願いします。
表現がわかりにくい点があればメールでご質問いただければ回答いたします。(少しお時間を要します)
①技能実習(1号、2号、3号)
日本での技能習得を目的として、最長5年間、日本での技能習得が認められています。
技能実習中は労働基準法が適用され、労働条件は同程度の仕事内容や職責を担う日本人と同じに設定する必要があります。
実習内容については「技能実習計画」とよばれる計画を作成し、外国人技能実習機構より認定を受け、その計画に記載された実習しかできません。また、技能実習計画に記載した実習時間にも合わせて実習を行う必要があります。(仕事内容と従事させる仕事の時間に制限があります)
技能実習生を受け入れるためには、ほとんどの企業は「監理団体」とよばれるところを通じてのみ技能実習生を受入れることができ、3年以上の技能実習を行うことができる職種・作業についてはあらかじめ国から指定されています。(建設業、製造業、農林漁業などが中心、詳細はこちら)
受入れコストについては、技能実習生の入国や寮の確保、家財道具の準備に要する費用の他、毎月監理団体に監理費を支払う必要があります。監理費の相場は3~5万円程度(月額)で設定している監理団体が多いです。監理団体を選ぶ際には、監理費ではなく、実習場所からの距離、監理費の費用対効果、サポート体制などを考慮して選ぶと良いでしょう。
②特定技能1号(1号・2号)
国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。特定技能1号は最長5年間、特定技能2号は期限の定めなしに日本での就労が認められています。
※特定技能2号への移行はとてもハードルが高く対象となる外国人もかなり少ないです。
特定技能外国人についても、労働基準法が適用され、労働条件は同程度の仕事内容や職責を担う日本人と同じに設定する必要があります。(社内に技能実習生がいる場合には技能実習2号生より高い給与とすることが求められています)
特定技能は次の産業分野で受け入れすることが認められています。
⑴介護、⑵ビルクリーニング、⑶工業製品製造業、⑷建設、⑸造船・舶用工業、⑹自動車整備、⑺航空、⑻宿泊、⑼自動車運送業、⑽鉄道、⑾農業、⑿漁業、⒀飲食料品製造業、⒁外食業、⒂林業、⒃木材産業
特定技能外国人の作業内容については、各分野で定められた内容に限定はされますが、従事できる作業内容の幅はかなり広く、かつ、技能実習のように「●●の作業を●時間しなければならない」といった時間数の縛りもないため、技能実習生より幅広い仕事を任せやすいといえます。
特定技能(1号)の在留資格を取得するためには、⑴所定の技能試験合格+日本語試験合格(技能実習2号修了を含む)、⑵特定技能移行対象となる技能実習2号を良好に修了、のいずれかを満たす必要があります。なお、特定技能2号の在留資格を取得するためには、特定技能1号の間に所定の受験要件を満たした上で、技能検定1級に相当する技能試験合格と日本語能力試験N3級相当(日常会話に不自由がないレベルの日本語能力)合格が必要となってくるため、このレベルに移行できる人材はかなり限られてくると思います。
特定技能人材(1号)を受け入れるためには、受け入れ企業または国の登録を受けた「登録支援機関」による支援が必要となってきます。ただし、受け入れ企業が自社で支援を行う場合には、就労系の在留資格を持つ外国人労働者の雇用実績が必要であったり、支援の独立性を担保できる社内体制であることが求められたりと、条件がかなり厳しいため、登録支援機関へ支援を委託することだ大多数です。
受入れコストについては、技能実習生とは異なり、渡航費用、移動費、住居費、家財道具の準備に要する費用などのコストを特定技能外国人本人へ負担してもらうことができますが、採用面で優位性を高めるために、これらのコストを受け入れ企業が全部または一部負担しているケースがほとんどです。なお、特定技能外国人の「支援」に要する経費(実際の支援に要する経費、登録支援機関への委託料など)については、特定技能外国人本人の同意があったとしても、負担さえることはできません。支援費の相場は2~4万円程度(月額)で設定している登録支援機関が多いです。登録支援機関を選ぶ際には、支援費ではなく、サポート体制などを考慮して選ぶと良いでしょう。特定技能外国人は、同じ分野であれば転職が自由にできることから、待遇面や会社の人間関係への不満、生活面での不便さなどが大きくなってしまうと、すぐに転職されてしまうため、早期の離職防止の観点からも「支援」の内容は、かなり重要となってきます。
③技術・人文知識・国際業務
一定の学歴要件(日本の所定の専門学校卒以上または海外の短大卒以上)または職歴要件(仕事内容により3年以上または10年以上)を満たし、かつ、学歴・職歴で得た知見と受け入れ企業での業務内容に一定の関連性が認められた場合、この技術・人文知識・国際業務の在留資格の許可を得ることができます。ただし、学歴や職歴があっても、技能実習生や特定技能外国人が行うような肉体労働や現場での作業、単なる接客や雑用的な仕事など(いわゆる単純労働とよばれる仕事)は、許可されませんのでご注意ください。
【技術・人文知識・国際業務の在留資格が認められない仕事内容の例】
⑴屋外での現場作業員、⑵工場等での作業・商品製造など、⑶店舗等でのレジ・品出し・清掃など、⑷飲食店での調理・接客など、⑸ドライバー・倉庫作業、⑹専門知識が不要なコールセンターや営業(テレアポ含む)、⑺単純作業(コピーとりやデータ入力)が多い事務作業、⑺ショップ等での接客(高度な専門知識が必要であったり、外国語を使うことが多い接客であれば許可の可能性あり)
技術・人文知識・国際業務については、許可となる要件がかなり曖昧であるケースも多く、申請しなければ許可・不許可がわからないといったケースも多いため、申請の際には専門家に相談することをオススメします。ちなみに、在留審査を行う入国管理局に対して、許可要件について質問しても、明らかに不許可となるケースを除き「とりあえず申請してみてください」としか言われませんのでご注意ください。
④永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
この在留資格を持っている外国人の方については、仕事内容の制限がありません。
日本人と同じで、違法な仕事でなければどんな仕事をしても大丈夫ですし、正社員、契約社員、パート・アルバイト、業務委託、自営業、会社経営など、どんな働き方をしても大丈夫です。
注意点としては、日本語能力の差が大きく(ほとんど日本語が話せない方もいます)、仕事の能力的にもバラつきが多いため、採用の際には日本語能力と職業経験などはよく確認しましょう。また、不法就労者の一部は「偽造在留カード」という偽の身分証を持っていて、偽造在留カードにはこの4つの在留資格のいずれかが使われているケースがほとんどなので、採用時には在留カードが偽造でないかも確認してください。(入国管理局のサイトや専用の機械で確認できます)
⑤留学生、家族滞在、特定活動(一部)
この3つの在留資格を持ち、在留カードの裏に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載されたスタンプが押してあれば、資格外活動許可といって週28時間以内かつ風俗営業許可が必要な仕事(パチンコ店、マージャン店、スナック、キャバクラなど)以外であれば、仕事内容の制限なく、働いてもらうことができます。週28時間以内と労働時間の縛りがあるため、アルバイトかパート(または派遣労働者)での雇用になるかと思います。
※学生で、かつ、長期休み中(夏休みなど)であれば、長期休み中に限り週28時間が1日8時間まで要件緩和されます
仕事が忙しいとか、人手が足りないとか、納期が厳しいとか、このような理由で週28時間を超えて働かせた場合、会社が罪に問われる可能性もあるため、労働時間は厳守してください(雇う側の事業は一切考慮されません!)。
なお、留学生が学校を卒業した場合、その翌日から資格外活動許可ができなく(働けなく)なりますのでご注意ください。これ、雇う側も留学生も知らないことが多いので。
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